肥満状態のヒトやマウスにおける脂肪組織や肝臓などの代謝臓器では,骨髄から単球・マクロファージが浸潤し,慢性的な低レベルの炎症が生じている。肥満による慢性炎症は,インスリン抵抗性や生活習慣病(糖尿病,脂肪肝炎)を引き起こす元凶と考えられている。これまでに,我々は代謝臓器の慢性炎症は,マクロファージ浸潤の増加だけでなく,炎症性M1マクロファージの増加と抗炎症性M2マクロファージの減少という,マクロファージの質が変わる極性変化が関与することを明らかにしてきた。しかし,肥満によるM1/M2極性の制御機構については十分に明らかにされていない。
本研究は以下の目標を設定し,肥満とマクロファージのM1/M2極性の調節機構を明らかにし,生活習慣病に対する疾患治療の開発を目指す。