近年樹立されたiPS細胞は生体のほぼ全ての細胞へ分化可能な万能細胞であり,再生医療への応用が期待されています。iPS細胞は初期胚の細胞と類似した特徴を有するため,iPS細胞から造血幹細胞を造り出すには,造血幹細胞の発生機構を理解し,それを生体外で再現する必要があります。私達の研究室では,造血幹細胞の発生機構を解明するモデルとしてゼブラフィッシュという熱帯魚を使用しています。ゼブラフィッシュは体外発生を行い,胚が透明であるため,蛍光タンパクで標識した細胞を生きたままの状態で観察することができます。このような“ライブイメージング”による解析から,発生過程における細胞間の相互作用を観察し,造血幹細胞の発生を制御する細胞ネットワークおよびシグナル伝達機構の解明を目指しています。