当グループでは主に有機色素を基盤に,欲しいものを自在に作る有機合成の技術と理論計算を活用した分子デザインを武器に,新規機能性材料の開発を目指しています。例えば,アザポルフィリン類は一般的に可視光を強く吸収し,鮮やかな色を示すことが知られています。近年私たちは,アザポルフィリン類に対し,特に典型元素の性質に着目した分子デザインを行うことで,生体材料・光電変換材料等に有効とされる近赤外光を活用できる色素材料の開発に成功しました。また合成の詳細を解析することを通して,通常空気中で単離不可能とされる,芳香族性を逸脱した化合物が安定に存在しうることを実証しています。このように,新しい色素材料の開発を通し,新材料の開発といった工学的な面と,新学理の提案といった理学的な面双方に貢献できると考え,研究を進めています。
現在進行中の主な研究課題は以下の通りですが,実験の途中で遭遇した思いもかけない結果から,当初想定していなかった研究が立ち上がることも大事にしたいと考えています。