地球上には様々な“かたち”の植物が存在し、それらは多様な環境に生育する。このような植物の多様性は、植物が変動する地球環境に応答し、新たな特徴を獲得したり、新しい環境に進出したりした結果、出来上がった。
私たちは、「植物の新しい特徴が生み出される仕組みときっかけ」や「地球史と植物の関わり」を明らかにするため、以下に例示するような、化石記録の調査や、様々な植物の発生パターンを比較する研究を行っている。
種子は、急激な寒冷化が起きたデボン紀末に、葉と同時に進化した。私たちは、種子と葉を同時に進化させたメカニズムを推定するため、種子発生の分子メカニズムを解明し、葉のそれらと比較する研究を進めている。
現在の地球の植物相は北半球と南半球で大きく異なり、南半球には白亜紀の“残党”植物が数多く生育する。私たちは最近、“残党”植物が密集して生き埋めになった植物化石群集を南米で発見した。この化石群集が生育した年代を推定し、生育地を復元することで、地球の植物相が南北非対称になった原因を初めて解明できるだろう。