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脳の動作原理を理解する上で,脳の機能単位であるカラム構造の形成機構を,細胞レベル・神経回路レベルで理解することは非常に重要である。しかし、1つ1つのカラム構造がどのような細胞群によってどのように形成されるかは、ほとんど分かっていない。哺乳類のカラム形成機構の全貌を明らかにすることは非常に困難であるが,ハエ視覚中枢のカラム1つは100程度という比較的少数の神経細胞で構成されており,脳神経回路の発生と機能を統合的に解析することが可能である。本研究は以下の目標を設定し,カラム形成の分子機構を解明する。
- 神経幹細胞が分化し経時的に多様な神経を産み出す「分化の波」に焦点を当て,数理モデルと遺伝学的解析を用いて,神経の多様性を産み出す分子機構を解明する。
- カラム構造における神経細胞の再配置の実体を明らかにするため,ライブイメージングや遺伝子機能解析により,カラム形成の分子機構を明らかにする。
- 神経細胞の活動を特異的に阻害する系統と,ハエの動体認識および神経活動の時空間パターンを測定する装置を組み合わせ,カラムを構成する1つ1つの神経細胞がどのような機能を果たすかを明らかにする。