リサーチプロフェッサー

登用型

人間社会研究域
人間科学系

教授佐々木 敏彦

  • 研究者情報
  • 量子ビーム材料評価学

Keywords

X線応力解析、中性子、放射光、残留応力、2次元検出器

Research content

 インフラの老朽化が社会問題になっています。長期間、外力や環境の影響を受けて腐食や金属疲労等が起こり、使用不能や破壊する危険性が高まるためです。同様な老朽化は、自動車、鉄道、航空機、船舶などでも避けられません。これらでは燃費の改善や軽量化といった要求があり、強度に対しては益々厳しい状況となるため、その対応に産業界では材料面、力学面、環境面など様々な研究が続けられています。

 こうした課題に対して、私の研究室ではX線や中性子、放射光などの量子ビームを応用した「量子ビーム材料評価」による研究を行っています。この手法は、結晶レベルのナノスケールの情報を通して、マクロな性質(残留応力、集合組織、硬度等)を高精度に解明できる特長があります。一方で、実験室での小型サンプルには有効ですが、生産現場や屋外での使用には装置面、測定速度など幾つか課題が残されています。

 こうした中、20年ほど前から2次元検出器の有効性に着目して基礎研究を行ってきました。2009年の金沢大学新技術説明会(JST)で行った私のアピールが契機となり、日本の企業から世界初の装置化が実現し、測定速度や小型化などにおいて従来技術のほぼ10倍の性能向上が達成されました。また、従来技術では難しかった実験室外での適用への有効性が証明されてきました。この状況を受けて、その後、相次いで国内の2社からも同型機が上市されると共に、関連する学会においての測定標準化に向けた活動も始まり、注目を集めています。この間の装置開発や学会活動では、私も含めて金沢大の関係者やOBが活躍してきており、本学が事実上の研究拠点になっています。

 私の研究室では、この手法を「新X線技術」と名づけ、日本の産業基盤への貢献と共に世界的な普及を目指しています。そう遠くない将来に、従来技術が新X線技術に取って代わる時が来る可能性があると考えています。この加速のため、2014年からは、つくばの高エネルギー加速器研究機構(KEK)との共同研究により、新型半導体X線検出器(一体型SOIピクセル検出器)を導入し、従来比で数100倍高速で高性能な基礎技術も開発中です。この技術を用いることでリアルタイム計測を実現し、現在、世界中の鉄道レールで課題となっているレールの疲労対策として走行しながら効率的に損傷箇所を見付け出して補修できるようにすることや、自動車部品の製造ラインでの高精度な全数検査とトレーサビリティ化実現などの達成を考えています。今後の5年以内にこれらの実現を目指します。

 

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